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欠陥人間の考えたことを綴っていくよ

病院行ってホルモン注射してきた

覚悟と決意をしたのでGIDの病院行ってきた。

11月に入った頃から病院については調べていた。やはり自分の性別を社会的にもはっきりさせたいという思いはあった。私の家から行けそうな範囲で調べたら、4件くらい見つかり、覚悟ができたのでやっていくぞという気持ちで順番に電話をかけた。

最初に、名古屋駅から歩いていける立地の病院に電話した。サイトがなんか微妙に怪しい感じだが、噂によればわりと人気なところで、診断が出るのが早いらしい。が、電話に出なかった。
次は、名古屋市内のオフィス街の近くある病院に電話した。保険は適用らしいが、手術までしないと診断出してくれないらしい。手術する金が貯まるまで待っていられないので却下。
もう一つは市の中心部の繁華街近くにある病院。保険が効かず初診料だけで1万円くらい掛かるらしい。やめ。
最後は、名古屋の郊外というかベッドタウンの駅前にある病院。保険適用になるので安いが、通うとなると遠いのでだるい。最初に電話した病院に連絡がついたら考えることにした。

一通り電話をかけたあと、最初に電話した病院にもう一度電話したら、留守番電話になったあと突然SMSが届いた。用件と名前を伝えたら、保険は効かないが、初診料は3000円程度と言われた。交通の便を考えたらこっちの方が郊外の病院まで出向くより近いし、安い。SMSで予約をする病院ってどうなんだろうという感じだが、そのまま予約を取ってもらった。

さっさと新しい私デビューしたくて、予約を取ってから診察するまでの日々が随分と長く感じた。

ようやく診察の日になり、化粧したり着る服を考えたり色々としていたら電車の時間を間違えて少しギリギリになってしまった。駅から走って行った。

病院に到着し、簡単な問診票を書いて受付の人に渡す。間も無くして名前を呼ばれ、診察室に入った。男性の、穏やかで優しい先生だった。

最初に、「既に希望の性別で暮らしている方なんですね。髪はウィッグですか、地毛ですか」と聞かれた。地毛です、と答えながらも、客観的には希望の性別として見られているんだ、と安心した。それから、今までのことや、これからどうして行くのかなど、色々と話した。本来の性別なんて検査しても分からないし数値化できるものでもないので、最終的には自分の判断だよ、みたいなことを言われた。表や図を書いて、色々なことを説明してくれた。

ここまでは想定の範囲内だった。

あとは性別を変えるということについて、厳しい現実をひたすら突きつけられた。「周りの人に悪口言われたり、陰口叩かれるかもよ」とか「就職が不利になるかもよ」とか。私は逆に周りの人々のおかげで自分に自信を持てているし、就職活動でも性別のことを言われたことはないから、特に不安にはならなかった。色々と本質的にはかなり厳しいことを言われていたと思うけれど、とても優しい顔と穏やかな話し方で、不思議と嫌な気持ちには全くならなかった。
4月までには就職して引っ越したい、と伝えたら、「無理に性別不詳のまま就職活動するより、今までの性別でとりあえず会社に入って、それから変えてもいいんだよ」とも言われた。私はむしろその方が辛くない……?と思ってしまった。欠陥人間なので、性別云々は抜きにしてもありのままの自分を受け入れてくれる職場じゃないと働けなさそうだし、職場の人々に性転換をしたという過去を知られたくない、という気持ちもある。別に知られたからどうなるという話でもないし、「ありのままの自分を受け入れてくれる会社に就きたい」なんてそんなのは甘えなのかもしれないが。

とりあえず、4月まで散歩がてら、注射に通いますか?と言われたので、そうすることにした。注射をすれば薬も飲まなくていいし、普段からバカみたいに酒とメンヘラの薬をガバガバ飲んでいるので、これまで通り薬を飲む感じだと、肝臓への負担が心配なのもある。それに個人輸入の薬で自己責任でやるより、ちゃんと面倒見てもらった方がいいだろう。個人輸入で買う薬は供給が安定してないし、病院での治療歴がないと診断書も出してもらえないので、ここでちゃんと治療歴をつけておいてもらおう、とも思った。

そのまま診察は終わって一旦待合室に戻り、すぐ名前を呼ばれて、注射を打つ別の部屋に入った。

注射は初めてだったので、正直かなり怖かった。注射を打ってくれるのは、先に話した医師とは別の看護師の方だったが、こちらも優しいお姉さんという感じだった。簡単に説明を受けたあと、ベッドにうつ伏せになって注射を打ってもらった。筋肉注射で、通常はお尻と腰の間あたりの位置に打つらしい。そんな場所に注射されたことないので余計怖かったが、思ったより痛くはなかった。インフルエンザの予防接種などと比べるとやたら量が多く、少しずつ入れていくため、全部入るのには30秒くらい掛かっただろうか。

注射した直後は少しふらふらした。ふらつきながらベッドから椅子に戻ると、看護師の方にも心配された。注射液が全体に行き渡るように、注射した箇所を揉むように言われたので、言われたとおりに揉みながら座って説明を受けた。自分の尻を揉みながら話を聞く姿を考えると相当不格好だったと思う。その間にふらふらする感じはマシになった。

説明を聞いたあと、受付に戻って支払いを済ませ、次回の予約もSMSでお願いします、といった話をされた。病院には私以外にも患者さんがいたが、病院から出るときにすれ違った人がとても可愛かったのをよく覚えている。私もああなりたいと思った。

病院を後にしてしばらくは、倦怠感が酷かった。病院の後に買い物に行く予定があったが、歩くのがしんどくて、身体全体がくらくらするのを感じながら名駅を歩いていた。あまりにも辛かったので、目的地へ向かう前にとりあえずスタバで新作のフラペチーノを飲むことにした。もう冬だというのにフラペチーノにしたのはちょっと頭が悪かったかもしれないが、ビルから飛び出したテラスの一角にあるふかふかのソファに身を預けて、名古屋の高層ビル郡を眺めながら、スマホSNSやネットサーフィンをしていると、とても落ち着いた。

用事を済ませ、家に帰った。それからずっと頭痛が酷い。最初は寒いのにスタバのテラス席でフラペチーノなんか飲んだからだ、と思ったが、翌日になっても頭痛が治まらなかった。身体のだるさもまあまあ残っていて、夜は吐き気に襲われた。最初に自己責任で錠剤を飲み始めた時もそんな気分になったことを思い出した。あと、ホルモン剤を摂取すると、気分が生理前のような不安定な状態や、逆に生理後のスッキリした気分になるとよく言われているが、その日の私は不安定な気持ちとスッキリした気持ちの両方とも……、という感じだった。

注射の効果が持続するのは7〜10日程度らしく、今後も1〜2週間に1回程度、1本3000円で注射してもらおうと思う。上手く就職できたとして、春からどうなるかは分からないけど、その頃までには診断出してもらったり、名前を変えたり引っ越したり、色々やりたい。

これでようやく、人生最後にやりたかったことの最初の一歩が踏み出せたのだと思うと、まだまだ先は長いな……という気持ちになった。春がやってくるまで、まだ何ヶ月もある。それまでに上手く就職して、追手を振り切って、自分の望む生活をして、幸せになって満足したら死んでいけたらいいな、と思う。他にやりたいことが出来たら、それはその時で、もうちょっと生きてもいいかな……。あとは現実でGIDの知り合いが欲しいと思った。コミュ障だし引っ越す予定なので、"現実で"友達が出来るかどうかは微妙だが、4月まではそんな感じで就職活動をしつつ頑張っていこうと思う。

それではさようなら。