hg0.hateblo.jp

欠陥人間の考えたことを綴っていくよ

新しい家を探しに行った

1月の、新年ムードがゆるやかにフェードアウトしていく頃。バイトのお休みをいただいて、東京に家を探しに行った。

貧民なのでぷらっとこだまで、午前中に地元を出た。自分以外の乗客は数えるほどだった。こだまなので新幹線では実質各駅停車だ。私は景色を眺めるのが好きなので、ぼーっと眺めたり写真を撮ってSNSをしたりしていたら、東京はあっという間に着いた。

まず最初は、新しい会社のオフィスに行き、仕事をする。12月から働いていたものの、今までリモートでしか働いていなかったし、面接はSkypeだったし、会社のオフィスに向かうのは初めてだ。その会社の最寄駅では降りたこともない私だが、新幹線からの乗り換えで少し手間取ったものの、難なくたどり着けた。

オフィスに着くと、私に会社を紹介してくれた友人が迎え入れてくれた。とても静かなオフィスだった。地元からはお土産を持って行ったので、会社に置いていった。そういえば自分で買っておいて、自分で食べていないので少し後悔している。

オフィスでの作業も、これまでのリモートでの出勤と変わることなかった。場所が違うだけで、いつも通り出退勤時刻を打刻し、席に座って作業を始めた。

仕事が終わったあと、会社のメンバーと新年会に行った。新宿の高層ホテルの最上階で行われた。こんな豪華なレストランで食事をしたのは初めてで、お酒も美味しくて会話も弾んだ。

まだ駆け出しで何もわからないなりに仕事を進めていたものの、事務の方や上司の方も自分の仕事について評価してくれたり、感想を聞くことができてとても良かった。ワイングラスが空になると、ウェイトレスさんが無限におかわりを注いでくるので、気づいたら泥酔状態になっていた私は、「本当にこんな会社でよかった?」と聞かれると「ヤァもう……最高」としか言えなかった。(すみません)

新年会が終わり、駅に着いて、迷って、気が付いたら違う駅にいたが、無事地下鉄に辿り着いた。吐き気と戦いつつも、楽しかったことを思い出して、幸せな気分になりながらも地下鉄に揺られた。ホテルの最寄駅に行く電車が終わっていたので、駅を出てタクシーを捕まえて、ホテルの名前を告げたら運転手さんは分からないと言うので、私がGoogleマップを見ながらんー!ここを右!左!とか言っていたらなんとか宿に着いた。

東京にはお気に入りのカプセルホテルがあり、今回もそこを2泊3日で取った。学生だと2000円程度で泊まれて、シャワーも24時間浴び放題。内装も綺麗で、そしてなんと言っても男女混合のフロアがあるので、私みたいな性別不詳でも泊まれるのが良い。

外国人向けなのか、海外からのお客さんがかなり多い。そこに行くと、一度はだいたい英語で話しかけられる。その夜は、ホテルのデッキで2人組の外国人男性と話をした。
「日本に住んでるの?」
「そうだよ。就職するから、新しい家を探しに来た」
「すごい。私たちはベルギー、ヨーロッパの方から来た」
最初は何を言っているのかなかなか聞き取りづらかったし、今になってようやくあれは「ベルギー」と言っていたことに気づいたが、耳と頭が少しずつ英語に慣れてくると、彼らの日本での旅行の思い出を沢山聞くことができた。
「大阪には有名な川があって、そこは人でいっぱいだった」
「もしかして、道頓堀かな」
「YEEES, Dotonbori, Dotonbori! So crazy place...!」
「道頓堀みたいな場所が他の国にあるのか、私は聞いたことないよ。本当にクレイジーな場所だ」
日本全国を数週間かけて旅しているみたいだった。実はメディアアーティストの人で、MaxMSPやProcessingで食っているということをもう一人の人から聞いた。私も大学ではメディアアートをやっていたし、なんて偶然なんだろう。
話によるとこのお二人、「DieWithMe」という、電池残量が少なくなった時にのみ起動できて、見知らぬ人とチャットができるアプリをリリースしているらしい。その話を午前1時のホテルのデッキで聞いた時は、なんて詩的なんだろう、と思った。
別れ際に、「お話ができてよかった、楽しんで、良い夜を」「良かったよ。新しいお家が見つかると良いね」と言葉を交わし、自分のカプセルに戻る。このホテルじゃないと味わえない、素晴らしいひとときだった。

 ‌

 ‌

翌日。朝起きてシャワーを浴び、身支度を済ませて不動産屋に向かった。人生初の不動産屋だ。大事をとって開店時間に予約を入れていた。某ハンバーガーチェーンで朝メニューを頼み時間を潰して、開店と同時に突入。若いお兄さんが対応してくれた。

不動産サイトで問い合わせした物件以外の物件も勿論探すのだが、条件は固まっていたし駅も決めていたので、選択肢はかなり絞られた。初期費用を抑えたくて、出来るだけ安く済むところにしようと思ったら、最後に残ったのは結局、最初に不動産サイトで問い合わせした物件になった。

管理会社に内見の許可をいただき、お兄さんと一緒に電車に乗り、駅から歩く。黙ってても気まずいので何か会話しなきゃ……と思い、「この辺はドラマに出てきそうな雰囲気ですね」とか「このコンビニは大学の近くにもあるんですけど、安くていつも使ってます」とか、そんな話をしているうちに到着した。

オートロックで、中は何より綺麗で、独立洗面台もあって玄関には姿見も備え付けてある。ここが私が住む家になるのか……。テンションが上がってしまったが、気を引き締めて、問題がないかお兄さんとチェックしていく。壁の厚さはどうか?水道の水圧は十分か?コンセントの数は足りるか?お手洗いのタンクはちゃんと掃除されているか?など……。

部屋は少し狭いが、それ以上に脱衣所やお風呂の設備が充実していたし、エアコンや照明も備え付けのものがかなり綺麗で、ちゃんとメンテナンスされているという印象を受けた。あとから思ったが、家の寸法をメジャーでしっかり測っておくべきだった。不動産の内見に行く時は絶対、メジャーと印刷した間取り図とペンは持って行こうな。

満足できたので、内見は終了。あとは、物件の最寄駅までのルートをお兄さんと一緒に歩く。駅からの距離も程よく、何より閑静な住宅街といった感じで、雰囲気が良くて、落ち着いた。

その日の夜はまた飲み。私を救って、人生を変えてくれた大切な人々だ。楽しく話して、幸せな時間を過ごした。あまり時間がなかったから、もっと話したいこともあったけど、それはまた私が東京に越してきてからのお楽しみで。よろしくな。

また終電ギリギリになってカプセルホテルへ戻る。乗り換えの時、ホームに着いたら丁度電車のドアが閉まったところだった。駅員さんが私を見て、閉まったドアを開けてくれなかったら恐らく、歩くか、またタクシーを使う羽目になっていた。ありがたや。

その日のホテルでは外国人観光客との会話イベントは発生しなかった。カプセルで横になった私は、すぐに眠りについた。

 ‌

 ‌

翌日。最終日だ。
この日は万が一、家が決まらなかった時のために開けておいた日だが、昨日すんなり決まってしまったので、特にすることがなかった。そんな感じで悩んでいたら、友人がうち来ても良いよ〜と誘ってくれたので、遊びに行った。一緒にお昼を食べたり、ゲームをしたり、こたつの上にポテチとコーラを広げて話したり。それから、時間があったので少しだけリモートで働いたりもした。既に一人暮らしをしている人なので、どんな感じなのかと参考になった。

夜は、いつも仲良くさせてもらっているSNSの友人たちとまたもや飲み。沢山の方が集まってとても嬉しかったし、お酒のパワーもあって人と話すのが楽しかった。そしてなんと私が引っ越したら歓迎会をやろう、とまで言ってくれた。春の日差しのように暖かくて、この上ない幸せに包まれていると実感した。本当に楽しい仲間たちだ。みんな大好きだよ。

帰りの夜行バスではなかなか寝付けなかった。普段は帰りのバスでは発車して15分くらいしたら眠ってしまうのだが、隣の人がやたら蠢き回るので少し苦しかった。結局、まともに眠れたのは深夜4時過ぎだっただろうか。

夜行バスが駅に到着し、キャリーケースを引いて早朝の駅の中を歩き、自宅までのバス停へ向かう。ああ、現実に戻ってきてしまったなあとしみじみ思いながら、待合室で時間を潰した。

 ‌

 ‌

それにしても、濃い3日間だった。新しい家も無事決まって、今後一緒に働くことになる仲間や友人、大切な人たちと楽しい時間を沢山過ごせて、やっぱり幸せだ。そしてまた私が東京に戻って来るのを待っていてくれる人たちがいるなんて。こんなに頂いて返すものがない……と毎回のようにブログの末尾に書いてますね。

これからは引っ越しや手続きで何度か地元と東京を往復することになりそうだ。一人で暮らす上で色々と辛くなることはあるかもしれないけど、新しい場所での生活、別人に生まれ変わったとでも思ってやっていきたいと思います。せや、ようやく私の人生が始まるんや。

みんな、大好きだよ。
生きていて本当に良かった。
これからも、よろしくお願いします。